喪失という恩寵〜愛のアルケミー

失うということは、
そこにあった愛、与えられていた豊かさに、
気づかせてくれる恩寵でもある。

その愛や豊かさを、
あますところなく受け取るための、
通過儀礼のようなものだ。

手にしているものを失うことには、

どうしたって、
恐れや痛みや切なさがともなう。

握りしめ、しがみつきたくもなる。

その、ふるえるこころを、
ただ、そのままに抱きしめて、慈しむ時、

変容のアルケミーがおこる。

失うことで、
得るという体験が、全うされる。

おだやかな微笑み、
あたたかい感謝を、残り香に…。

そして、
その背後にいつもあった、

得ることも失うこともないもの、

変わり続けるすべてを含んだ、
変わることのないものが、

音もなく、たち現れる。

わたしは、
それを、愛と呼んでいる。

これらすべてを、愛と呼んでいる。

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