喪失という恩寵〜愛のアルケミー

失うということは、
そこにあった愛、与えられていた豊かさに、
気づかせてくれる恩寵でもある。

その愛や豊かさを、
あますところなく受け取るための、
通過儀礼のようなものだ。

手にしているものを失うことには、

どうしたって、
恐れや痛みや切なさがともなう。

握りしめ、しがみつきたくもなる。

その、ふるえるこころを、
ただ、そのままに抱きしめて、慈しむ時、

変容のアルケミーがおこる。

失うことで、
得るという体験が、全うされる。

失うこと、終わることで、

また、新しいフェーズへと、
らせんにめぐりゆくのだ。

そして、

失うこと、得ること、
終わること、始まること、

その背後にいつもある、
得ることも失うこともないもの、
始まることも終わることもないもの、

変わり続けるすべてを含んだ、
変わることのないものが、

音もなく、たち現れる。

わたしは、
それを、愛と呼んでいる。

これらすべてを、愛と呼んでいる。

Scroll to top